万年筆とファウンテンペン

明治期に輸入された「ファウンテンペン」ですが、直訳すれば「泉のように湧き出る
(ファウンテン)筆(ペン)」です。その「泉筆(せんぴつ)」がなぜ「万年筆」と
訳されたのか先代から聞いた話をもとに私なりに解釈すると以下のように考えられます。

万年筆が輸入されるまでの日本人は毛筆を使っていました。毛筆で書かれた書いた字は
美しいのですが、動物の毛ですから書くほどに痛みますし、都度手入れが必要であり、
当たり外れもあり、毛が割れたり、手入れをせずにおけばカビることすらあります。
多く書く人ほど毛筆の寿命は非常に短くそれが問題であったといえます。

それに比べて万年筆は金属を使っていますから、毛筆ほど手入れを必要としませんし、
寿命も長く、書くほどに手に馴染む感覚も相まって「万年」と「筆」という称号を
与えられたのだと思います。

昔は金ペンの万年筆は非常に高価でしたから、高校もしくは旧制中学校の入学祝で
万年筆を親から買って貰い、自慢げに胸のポケットにさして大人への仲間入りを
誇らしく思ったものです。

そして(そのペンを2~3回は研ぎ直して)60才の定年まで、果ては自分で字が
書けなくなるまで、一生つれそったものです。

その人と一生おつきあいをする意味でも「万年」筆なのです。