実際にどのような形なのか説明させて頂きます。
まずは製品の工場出荷状態のペン先をご覧下さい。
これはペリカンのM800で字の太さはBです。
最近のペリカンは太さB以上でしか「角研ぎ」に仕上げていないようですので
これを比較対象としました。
イリジウム(先端の銀色の部分)が横に縞が入っているのは、
手作業で研ぎ出して調整しているものと思われます。
ちなみに機械で仕上げたものは縦縞が入ります。
弊社の五角研ぎにもここまで荒くはないですが、手作業ですので軽く横縞が入ります。
次によく使い込まれたペン先をご覧下さい。
丸かった先端がスパッと切れていて「大根を切ったような」という表現が
おわかり頂けると思います。
その腹側の画です。
これはペリカンのM600のペン先です。弊社から10年前にお買い上げ頂いた方のペン先です。
(使い手によってクセは異なります。)
この画を見ても角研ぎ特有の「紙を面で捉える」ということがおわかり頂けるのではないか
と思います。
その方が最近ご来店の際に、「調子はいかがですか?」とお持ちになったペン先の見たところ
よく使い込まれていたので記録のために写真を撮らせて頂きました。
最近そのような使い手少ないです。
その方は十年日記を使われているとのことで、日記には毎日その万年筆を使っていたそうです。
日記が丸十年を迎え、この度新しい十年日記をお求めになるためにご来店頂いた方のものです。
その方にとって十年前のペリカンの万年筆は高価でありそのこともあって日々大切に
使われていたそうです。
ペン先を見てもこの方が、非常に丁寧に大切に万年筆を使われていたことがわかります。
そのペリカンのイリジウムは硬いですから、その方とあと20年はお付き合いできるでしょう。
このように本当に万年筆を使って頂けるお客様とお付き合いできることは職人冥利に尽きます。